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ロータス神奈川侃々諤々

Vol. 8『情報の中にある「恣意性」を見抜く力』

世の中に溢れる情報には「客観性」を欠くもの、
「情報操作」を狙うもの、等多くの「嘘」が隠されています。


肌寒い季節になってまいりました。
この季節は、普段の年でも体調を崩しやすいものですが、今年はコロナ禍がまだまだ終息の兆しすら全くみえません。人と人との関りが必須な皆さまには、平年以上に体調管理し、またお互いの安全を確保するために「マスク着用・手洗い・消毒・うがい」の感染予防対策が必須となります。

現在の情報社会には、いたるところに情報があふれています。その中で必要な情報をどのようにして見極めればよいのか「情報の中にある『恣意性』を見抜く力」をご紹介させていただきます。

「情報の恣意性」については、説明が長くなりますので、実例をご覧いただくと一目瞭然にお分かりになると思います。

 


【サンプル1】 こちらは皆さまがお馴染みの一番有名な「情報操作例」です。違う左右のタテ軸の単位を意図的に設定しています。上記の場合、まるで「電子コミック」が、紙冊子の「コミック誌」の販売数をあたかも逆転しているかのように見せています。(右図が単位を合わせた正しいグラフ)

 



【サンプル2】 こちらも、有名なグラフによる「視覚印象操作」の例です。皆さまも一目見てお分かりのように、左のグラフの単位が「0」から始まっていません。このグラフを見ると2012年から2015年にかけて、4年間で我が国の軍事費が3倍以上に跳ね上がっているかのような印象を受けますが、実際には右のグラフのとおり5兆円弱を微増減しているだけです。




【サンプル3】 その他、左のような広告をよく見かける事はないでしょうか?  こちらも「視覚印象操作」で有名な「立体+遠近法」を利用したグラフです。このグラフを見ると、ここ3年でこちらの学習塾の東大合格者数が、倍近く増加しているように見えますが、実際は1,244名→1,290名、伸び率は僅か1.04%。つまり1割も増加していない事に気がつきます。


このような統計による「印象操作」は現実に、我々の生活の至る所で行われているのですが、その中でも、やはり我々にとって一番の問題は「国政」についての「印象操作」になるでしょう。  

2015年9月、自民党総裁に再選された安倍晋三首相は記者会見で「アベノミクスによって、

①※雇用は100万人以上増えた。

②2年連続で※賃金も上がり、

③中小・小規模事業者の※倒産件数も、大きく減少した。もはや

④※『デフレではない』という状態にまで達した」と声高々に宣言しました。
しかし実情は、 1 ※雇用については、現実は、増えたのはパート・派遣などといった非正規雇用ばかり(2年間で160万人増)で、正規雇用は減っています(同50万人減) 2 ※賃金について見ると、正規雇用者中心の大企業の統計である「春闘賃上げ率」は13年度、14年度ともに2%台に乗せましたが、中小企業や非正規雇用者も含めた全体の「賃金統計」を見ると、13年度が前年度比マイナス1・0%、14年度がマイナス0・4%となっています。 3 ※中小企業経営の倒産件数はついて見ると、金融の大緩和もあり、10年度以降毎年減少していますが、休廃業・解散件数が、13年度に過去最大の2万9000件に激増、14年度も2万7000件と高水準を続けています。 4 ※デフレについて見ると、消費者物価(生鮮食品を除く)の上昇率は、安倍内閣発足前の12年12月が前年同月比マイナス0・2%でしたが。資料統計時の15年8月がマイナス0・1%で、何も変わっていません。

つまるところ、統計というものはある側面では現実の動向を可視化する大事な役目を担っていますが、また別の側面では「恣意的な統計値の取捨選択」によって、我々の印象を操作する道具にもなりうる可能性をもっています。

これからの時代、ビッグデータの活用~AIの高度化によって、ますます「統計数字の正確さ」は向上していくでしょう。その数字を判断する時には、是非「真偽を見定める確かな判断力」をもってお向き合い下さい。これからは数字の「正確さ」も当然ながら向上しますが、同時に「印象操作の手法」もますます巧妙になっていくでしょう。  

最後に物事を判断するのは、あなた自身の目であり、耳であり、嗅覚であります。 いかに世の中の「真・偽」を見抜いて生きていくかは、皆さんがいかに日々日常、どれだけ有意義な情報を求めてアンテナを高く張り巡らしているかにかかっています。  

これからは「情報を制する人」が「時代を動かし革新する人」になっていくことでしょう。







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